2007年7月5日木曜日

「労働ビッグバン」を考える必読文書

「労働ビッグバン」が初めて登場したのは、2006年11月30日に、政府の経済財政諮問会議で民間議員(伊藤隆敏、丹羽宇一郎、御手洗冨士夫、八代尚宏)が提案した「複線型でフェアな働き方に~労働ビッグバンと再チャレンジ支援~」という文書。
http://www.keizai-shimon.go.jp/minutes/2006/1130/item4.pdf

この提案も基づき、2006年12月に設置されたのが「労働市場専門調査会」。今後10年程度の中長期的な労働市場改革のあり方を検討することが課題とされている。
http://www.keizai-shimon.go.jp/special/work/index.html

前記民間議員が出した「労働市場改革専門調査会の検討項目についての意見」では6つの「壁」の克服が課題としてあげられている。
http://www.keizai-shimon.go.jp/special/work/01/item9.pdf

同調査会は2007年4月6日に、第1次報告をとりまとめた。「ワークライフバランス憲章」が報告書の主たる提言内容となり、労働ビッグバンはどこかに消える。しかし、痕跡はあるとの見方も。
http://www.keizai-shimon.go.jp/cabinet/2007/decision0406.pdf

かわって突然出てきたのが、「規制改革会議再チャレンジワーキンググループ労働タスクフォース」が5月21日付でだした「脱格差と活力をもたらす労働市場へ~労働法制の抜本的見直しを~」という意見書。「一部に残存する神話のように、労働者の権利を強めれば、その労働者の保護が図られるという考え方は誤っている」という立場に立ち、戦後労働法制、労働者の権利を全否定する。ネオリベラリズムの労働観を素直に表明した文章。この意見書の内容は5月30日に出された規制改革会議の第1次答申には、一切盛り込まれなった。
http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/publication/2007/0521/item070521_01.pdf

なお、この意見書には様々な労働組合から批判がなされている。当研究プロジェクトのメンバーの小山正樹さんが所属するJAMでは6月27日に内閣府に対して抗議要請を行っている。
http://www.jam-union.or.jp/20070703ikensyo/naikakufu.html

今年2月に残業代不払い法案を引っ込めて以来、与党内部や政府内での路線対立や選挙向けの政治的配慮が言われるが、いずれにせよ迷走を続ける安倍政権の労働政策を表しているのだろう。しかし、参議院選挙の結果次第ではどうなるかわからない。

上記文章を一度は読んでみよう。